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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

して、左の方の蒲団わきに、見なれない一冊の画帖のあることを認めました。

自分のものでない限り、誰かが来ってここにさし置いて行ったものである。誰かというまでもなく、それは、この火と、炭と、薬缶と、土鍋と、茶道具とを持って来てくれた、親切な人――その人が、旅宿の無聊と、病気の慰安とを兼ねて、自分のために、この画帖を貸与してくれたのだとは問うまでもなきことで、兵馬は粥を温めるの手数よりも、その心の慰安がうれしくて、うつぷしに寝返って画帖に手を触れました。

それは折本になっている布装の書画帖で、中に記されたところのものは、多分、この宿に逗留の客人の、消閑の筆のすさびでありましょう。

まず巻頭に、万葉仮名がいっぱいに認められてあるが、これは、ちょっと読みにくい。

その次が、かなり癖のある強い筆跡で、

子房未虎嘯(子房未だ虎嘯せざりしとき)

破産不為家(産を破り家を為めず)

滄海得壮士(滄海に壮士を得)

椎秦博浪沙(秦を椎す博浪沙)

これは有名な詩であるが、ただ、ちょっと兵馬の目ざわりになったのは、

我来※(「土+巳」、第3水準1-15-36)橋上(我れ橋の上に来り)