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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁
人間並みの人に言い寄ろうには、ただ人間並みの戸籍を示してかからぬことには、この際、自分というものの、見かけほどには危険性を帯びている者でないということの証明にはならないと考えたのでしょう……白雲も、あれで郷に入ることに慣れているから、その辺は甚だ鈍感ではなく、ぶっきらぼうに、お世辞ともつかず、自己釈明ともつかず言いました、
「測量は、どこからどこまでなさるのですか、地上を測って行くという仕事には、無限の面白味がありましょうね……拙者は足利の田山白雲という田舎絵師ですが」
と、彼は大抵の場合にするように、あけすけに自分の名を名乗ってしまいました。
拙者は木挽町の狩野でござるとか、文晁の高弟で、崋山の友人で候とか、コケおどしを試むる必要はなく、大抵の場合、足利の田舎絵師田山白雲と、素性をブチまけてかかるのがこの人の習いであった。これは一つは、どう見ても画家と受取られない見てくれ。剣客と見られたり、脱走と見られたり、事毎に面倒がかかり易いために、まず絵師だといってしまえば、その種類の大部分が消滅するの便宜があるからだ。それでもなお、不審がるものには、遠慮なく紙と筆とを以て、お手のうちを眼前に示して見せると、早速事が納まる、のみならず、それが機縁で、絵の商売上、思わぬ収入にありつくこともある。