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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

今の田山白雲は、決して名を惜しむほどの名でなく、腕を惜しむほどの腕でないことを、充分に自覚し抜いているから、どちらにしても惜気がない。

名乗れと言われない先に名乗り、腕を要求せらるれば、一山三文の、当時の価をそのままで提示することを辞さない。

今も、その例によって、問われざるに名乗ってしまってから、懐中から画帖を取り出したものです。

「君方は地面を数量で刻んでいくのですが、拙者は直観でうつしていく商売です。どうです、あなた方はそうしてコツコツと地面を数量で刻んで行きながら、地面そのものの魅力に感激せしめられるようなことはございませんか」

四十四

写生帖を持って白雲がこう問いかけると、二人の測量師は面食って、

「何、何でござるてな……」

彼等は狼狽したが、やがて白雲が正銘の画家であることに合点がゆくと、極めて打解けて湯茶などをもてなし、煙草もすすめ、それから絵の事と、風景の事とで、心置きなく会話が取交されました。

「この間、江戸へ行った時、広小路の露店で狩野家を一枚買いました」

「そうですか」

「尚信とありますが、本物ですかどうですか」

「ははあ」