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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

ここには、無論、その弁信はおりません。

寂寞たる空山の夕べを、ひとり山上に歩み行くのですから、何を歌おうと、あえて干渉する者はないのですが、習い性となって、ふと弁信からの横槍をおそれ、そこに良心のひらめきというようなものがあって、自発的に「人も通らぬ山道」の歌を中止してしまったのかとも思われます。

それは中止したけれど、茂太郎のブレスがこの時は、もう歌をうたうようになっていたのですから――そこで直ちに出直して、

二人行けど

行き過ぎ難き

秋山を

いかでか

君が

独り越ゆらん

ゆっくりと、うらさびしく歌い出しました。これならどこからも干渉の来る憂いはあるまい、と安んじたのでしょう。

しかし干渉は来らないが、感傷の起るのはぜひもないと見えて、茂太郎は愁然として、同じ調子を二度繰返されてしまいました。

二人行けど

行き過ぎ難き

山道を

いかでか

君が

独り越ゆらん

二度目の歌では字句に少しの変化がありましたけれど、調子にはさのみ変りはありません。

歌いきった後、

いかでか君が独り越ゆらん――

これを茂太郎は折返しました。

聞くに堪えんや陽関三畳の詞――といったような気分を自分が誘い出して、自分が堪えられないような心持で、ついに「く」