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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

「広い屋敷だな」

その屋敷は何万坪にわたるか、米友には目算が立たないが、向うの丘山を越えても、なお地続きに制限はないと思われる。地所に制限はないと思われるが、米友の心にはおのずから制限があって、あまり遠くへふらついて、関守氏を心配させては済まないという道義感がついて廻るから、暫くして、また取って返して、住居の方へ戻って来ると、ぱったりと物置小屋の隅に異様なものを認めて、

「あっ!」

と舌を捲き、その途端に、例によっての地団駄を踏みました。

遽然として彼の平静の心を奪ったところに、物がある、動く物がある。

いったん舌を捲いて地団駄を踏むと共に、彼は、それに吸いつけられたもののように、一足飛びに飛んで行って見ました。

物置小屋の傍らに、差しかけがあって、その下に、いる、いる、一頭の犬がいる。

しかも、その犬が断じてただ犬ではない。

「やあ、いたな!」

走り寄った弾丸黒子の姿を見ると、そのただ犬でない犬が、唸るが如く、米友に向って吠えました。

「やあ、いたな!」

彼が、摺りよるほどに近づくと、犬は続いて尾を振って吠えかける。その吠える声が、さきに米友が評した如く、「腹で吠えてやがる」