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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

という底力のある吠え声であることはよく知っているが、それが威嚇の音声でないことは、多少とも尾を振っていることを見てもわかる。且つまた、犬を知り、犬を愛し、犬を理解することに於て、宇治山田の米友はまた一つの天才である。

「やあ、いたな!」

犬の傍へ寄ると、犬がまた米友に飛びついて来ました。飛びついて来たからといって、この異様な珍客に争闘を挑むのではない、これを懐かしがって心からの抱擁を試みんとするものらしい。

けれども、この抱擁が生やさしい抱擁でなかったことは、一見すると、米友がこの犬のために抱きすくめられてしまったとしか思われない。尋常ならば悲鳴をあげ助けを呼ぶべきほどの体制に置かれた瞬間、米友は更にひるむということを知らないで、抱きすくめられながら、それを抱きとめてあしらっている。

一見したばっかりの米友が、かくまで犬を愛するということは、犬にかけての天才であってみると不思議はないようなものだが、相手方の犬が、米友を一見しただけで、こうにも懐かしがるということは解せない。

本来、沈毅にして、忠実なる犬であればあるほど、人見知りをすべきはずのものである。