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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

茂太郎はありきたりの蛇使いではありません。この子は、子供の時分から蛇に好かれる子でありました。人のいやがる蛇を集めて大切に育てておりました。

ある日のこと、表通りは押返されないほど賑やかだが、人通りもない湿っぽい路次のところから、この軽業小屋の楽屋へ首を出した一人の盲法師がありました。

「こんにちは」

舞台では盛んに三味線、太鼓の音や、お客の拍手がパチパチと聞えているのに、ここでは案内を頼んでも、出て来る人がありません。

「こんにちは」

二度目に言ってもまだ返事がないから、盲法師は気兼ねをしながら中へ入って来ました。薄汚ない法衣を着て、背には袋へ入れた琵琶を頭高に背負っているから琵琶法師でありましょう。莚張りの中へ杖を突き入れると、

「おいおい、ここへ入って来ちゃいけねえ、按摩さん、勘違えしちゃいけねえよ」

通りかかった楽屋番が注意を与えると、盲法師は、

「はいはい、あの、こちら様に、清澄の茂太郎がおりますんでございましょうか。おりますんならば、逢いたくってやって参ったものでございますから、お会わせなすって下さるわけには参りますまいか」

「何ですって、茂太郎さんに会いたいんだって? お前さん、何の御用でおいでなすったんだい」