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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

「ちょッ」

仕方がないからわざわざ岸へ上って、家のまわりを、遠くから一廻りして表へ出て見ました。

こうして前後を見廻したけれど、いま庭で立消えになったがんりきの姿は、いずれにも認めることができません。

「野郎、まだ中に隠れているな、おれがあとをつけたことを感づいたもんだから、この屋敷の中で立往生をしていやがる、それともほかに抜け道をこしらえておいたものか、それにしては手廻しがよすぎるが、どうしてもあの裏手よりほかに逃げ道はねえはずなんだが……ハテ」

七兵衛は、また裏の方へ廻って見ました。そこでもまた再びその影も形も認めることができないから、ともかくも中へ入ってみようとする気になったらしく、そっとその木戸を押してみると、雑作なく開いた途端に、

「泥棒、泥棒、泥棒」

泥棒、泥棒と騒ぎ立てられた時分には、七兵衛もがんりきも、さいぜんの権現の稲荷の社前へ来ていました。

「兄貴、細工は流々、この通りだ」

がんりきは社前のところへ腰をかけて自慢そうに鼻うごめかすと、七兵衛も同じように腰をかけて苦笑い。

「いったい、そりゃ何の真似だ」

「何の真似だと言ったって兄貴、お前と俺らが甲府でやり損なった仕返しが、どうやらここでできたというもんだ、自分ながら思い設けぬ手柄だ、兄貴の前だけれども、こういうことはおれでなくってはできねえ芸当