輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

神尾主膳の眼にキラキラと黄色い色が見えたかと思うと、矢庭にその突いていた槍を取り直し、

「馬鹿め!」

恐れ入っていた長太を覘って、胸許からグサとその槍を突き通しました。

「あっ! 殿様!」

長太は、のたうち廻って苦しみました。その手には胸許を突き貫かれた槍の柄をしかと握り、

「殿様、あんまり……そりゃ」

と言って、あとは言えないで七転八倒の苦しみであります。

「殿様、そりゃ、あんまりお情けのうございます」

長太の言えないところを長吉が引取って、眼の色を変え犬鎌を持って立ち上るところを、

「汝れも!」

と言って、長太の胸から抜いた槍で、また長吉の胸をグサと一突き。

神尾の下屋敷から脱することを得たムク犬は、山へも逃げず、里へも逃げず、首に鎖と縄を引張ったまま只走りに走って、塩山の恵林寺の前へ来ると、直ぐにその門内へ飛び込んでしまいました。山へも里へも入らなかったこの犬が、何の心あって寺へ入ったか、犬の心持を知ることはできません。

街道でも門外でも騒いだように、恵林寺の門内へこの珍客が案内もなく飛び込んだ時には、一山の大衆を騒がせました。

「ソレ狂犬だ!」

庭を掃いていた坊主は、箒を振り上げました。