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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

「これでよい、何も忘れ物はない」

「左様でもございましょうが、ほかへ参るのと違いまして、あの里へ参るんでございますから、御用心の上に御用心が肝腎でございます、その御用心が足りませんと、飛んだ恥を掻くようなことがあったり、またみすみす大事なものを取逃がすようなことがないとも限りません、あの里ばかりは別な世界でございますからな」

遠廻しに言うけれども、やはり、その帰するところは同じようなことであります。

「なるほど」

兵馬は、それを覚らないほどに迂闊ではありません。そこを金助が見て取って、

「何しろ、先方様は大籬へ、茶屋からお上りになったんでございますからね、こちらもそのつもりで二十両や三十両がところは用意して参りませんと……」

金助からそう言われて、兵馬はハタと当惑しました。兵馬の懐中にはその当座の小遣として、二三両の金を持っていたばかりです。「少なくとも二十や三十の金」と言われて兵馬は、金助の態度を憎らしく、図々しいものだと思ったが、

「それもそういうものか知らん、暫く待っていてくれ」

何を考えたか、兵馬はこの一刻を急ぐ場合に、金助を一人そこへ残してこの間を立去りました。