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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

明晩はお天気もよろしうございまして、それにお月夜でございます。時々は、外へおいでになることがおたがいさまに保養でございます。月に浮れて、お江戸の市中を、尺八の音を流して歩くのは、風流ではございませんか」

弁信がこう言って相談をかけると、

「出かけてもいいな」

というのは竜之助の返事でありました。

けれどもその明晩は、そのことが実行されませんで、それから三日目の晩、この二人の盲目が相連れて、染井の屋敷をふらりと出かけました。竜之助は、そのころ市中を歩く虚無僧の姿をして、身には一剣をも帯びておりません。弁信は例のころもを着て、法然頭を網代笠で隠しておりました。二人ともに杖は持たず、同じような尺八を携えて出かけました。土蔵住居の屈託から、こうして、かりそめの風流を試みるつもりであるが、それにしてもあいにく、今宵はまだ月がありません。

お銀様は二人の出歩くことを、あえて異議を唱えないのみならず、なにくれと仕度をしてやって送り出したものです。それは、弁信が附いて行くことが何となしに心恃みになるし、それと、今宵に限って竜之助が、身に寸鉄を帯びずして出て行くということに安心したものと見えます。