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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

道を誤れば、月の入るべきところもないという武蔵野の、西の涯まで走らねばならぬ。川越、入間川を経て、秩父根まで走らなければ、道は窮することなき武蔵野の枯野の末です。

とある森の蔭に立って、兵馬は天を仰いで見ました。その宵はまだ星もありません。このあたりには人家も見えません。たしかに道を過ったものと思いました。よろよろと自分を支える力を失うが如く、大きな木の根に腰を卸して、ほっと深い息をついて俛首れてしまいました。

兵馬はまさしく道を過ったものです。その道は、行けども涯しのない武蔵野の道ではなく、自ら為すべきことの道を過ったものと見なければなりません。

四谷の大木戸で宰領を斬ったのは誰あろう、兵馬の仕業であります。それを山崎譲と見誤って斬ったのがオゾましい。兵馬には山崎譲を斬らねばならぬなんらの恨みがあるのではない、それは南条力に頼まれたからです。南条とても、山崎に私の怨みがあるわけでもなんでもない、彼は大事を成すの邪魔物であると思えばこそ、兵馬の手を借りて片附けさせようとしたものです。それはもちろん、頼まれたりとて承諾すべきことの限りではないのを、かくも兵馬が引受けて手を下すようになったのは、浅ましいことに女ゆえです。