輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

小癪とも言わずに右手を伸べた竜之助は、狂人の脇差の柄を握って、邪慳にそれをひったくると、高く振り上げて、水を掻くように無雑作に振り下ろすと、左の肩から垂直に胸の下まで斬り下げました。日高川の上で金蔵を斬って捨てたのが、やっぱりこの手でした。

「あっ!」

狂人は二言ともなくそこへのめってしまいました。

四方の原は、大風の吹き荒した後のように静かなものです。

燃えさかっていた野火も消えてしまい、それを消そうと騒ぎ廻った人も在らず、寥々たる広野の淋しさを感じた時に、ふと気がつきました。

斬ったのは金蔵ではないが、その女は、もしやお豊とは言わないか。

辱められたる不貞の女の憎み、憎む女の肉を食い、骨を削りたくなるのは、彼の膏肓に入れる病根であるかも知れない。竜之助は、金蔵を斬ったこの刃で、その女を併せて殺したくなりました。彼の右の手には、悪血がむず痒いほどに湧き上って来る。よし、その女が生きていようとも、すでに殺されていようとも、あくまでこの刃をその女の豊満した肉に突き立てて、その血を啜らなければ飽かぬ思いが、ぞくぞくと全身にこみ上げて来ました。

竜之助が、男から奪い取ったその脇差を離さないのはこの故です。