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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

「どなたでございます」

中から返事がありました。

「浅川宿のこなやというのは当家か」

竜之助は念を押してたずねると、

「いいえ、宅はこなやではございません、花屋でございます」

という二度目の返事です。

そこで竜之助が、はて、と思いました。表の掛行燈にはまさしく「こなや」と書いてあるのに、中の人は「こなや」ではない、「はなや」だという。行燈を見直して、更にたずね直してみなければなりません。

「ここは甲州街道の浅川宿であろうな」

「はい、小仏へ二里、八王子へ二里半の、浅川宿の小名路でございます」

「それならば、行燈に書いてあるこなやが間違いないのだろう」

「いいえ、こなやではございません、小名路の花屋でございます。いったい、どちらからおいでになりました」

「江戸の駒込から来た」

「駒込はどちら様で」

「以前、当家の養女であったという、お若という人を連れて来た」

「まあ、お若さんがおいでなすったそうですよ」

家の中が、さざめき渡りました。そこで、はじめて中から戸がガラリとあくと、立っている女は透きとおるほど鮮かな着物を着ています。

「よく、おいでになりました、さきから、こうして、明りだけは、かんかんと点けてお待ち申しておりました、あまり遅いものですから、戸だけは締めておきましたが、まだみんな起きているのでございます、さあ、お通り下さい