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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

花は散りても

春は咲く

鳥は古巣へ帰れども

往きて帰らぬ

死出の旅

と書いてありました。何のつもりで、こんな文句を書き出したのか知ら。その次を読んでみると、やっぱり同じように、

花は散りても

春は咲く

次へ次へと読んで行っても、どこまで読んでも同じ文句です。

その手紙がぼーっと白け渡った時分に、あちらを向いていた女が、こちらを向いて、

「あなた、お眼はいかがでございます」

突然にこう言って、暗い燈籠の蔭からたずねました。

「相変らずいけないよ」

女があまりなれなれしく言ったから、それで竜之助も砕けた返事をしました。

「まだいけませんのですか、困りましたね、早くお癒しなさらなくてはいけません」

「癒るものか」

それは冷罵の語気であります。

「癒らないことはございますまい」

「癒るものか」

いよいよ冷淡にハネ返すと、女は何を思ったか、

「それでは仕方がございません、早くあの峠を越えてしまいましょう、あの峠を越えないと、どうも心配でなりません、こうしていても眠れませんもの」

「あの峠とは?」

女の指差したところを振仰いで見ると、それは前にながめた小仏の峠であります。左右を見ると、路の両側には小流れが流れていて、人家のまばらな甲州街道の一駅に相違ない。