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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

と言って福村は、今更のように離れの方を見ました。離れには例のお絹がいます。

福村は気をつけていたけれども、その晩は狸の足音は聞えない代りに、遠からぬところで狸囃子の音が起るのを聞きました。

その翌日の晩もまた、お囃子の音が賑やかに宵のうちから響き出しました。この屋敷の界隈でも、例の踊りが流行り出したものです。

「うるさい百姓共だ、誰か行ってあれをさしとめて来い」

神尾主膳は病床のうちで、そのお囃子を焦れったがったけれども、ほかの連中はかえってそのお囃子で浮き立ちました。

踊りの同勢がこの化物屋敷の前へ来て、そこでまた盛んに踊り出している時に、

「喧しいやい」

神尾だけが焦れているけれども、そのほかの連中は面白がって出て見ます。

離れにいたお絹もまた、じっとしてはいられません。女中を連れて垣根からしきりに踊りを見物していたが、つい面白さに釣り込まれて、門の前へ出てしまいました。

「このお屋敷の中には、たしか八幡のお稲荷様がありましたぜ、お稲荷様の前で踊らせてもらいましょう」

「そういうことに願いましょう」

同勢は踊りの威勢で、化物屋敷の中へ混み入ってしまいました。