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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

かくて毎日、江戸の市中へ繰込む乞食の数が少ないものではありません。

沿道の商人たちがこぼすまいことか、水戸の中納言様、奥州仙台の陸奥守様、さてこのたび評判の館林のお狸様、それとは変って、箸も持たぬお菰様のお通りでは、どうも商売がうるおいっこはありません。

こんな碌でもないお通りは、追払ってしまいたいものだと思いました。

この際、南条力の東漂西泊ぶりもまた、かなり忙がしいものと言わなければなりません。

甲州街道筋を出かけるから、やはりこれはお馴染の甲州入りをするものだろうと見ていると、八王子から急に南へ折れました。

ここを南へ行けば、甲州へは行かないで相模へ出るのです。このとき南条の身なりは、ちょっとした無宿の長脇差といったふうをしていることも、いつもとは趣が少し違います。そうして八王子を南へ相原道を出かけると、路傍の松の木の蔭から、

「先生」

ぬっと現われたのは、たしかに待伏せをしていたものらしい。これも一癖ありそうな旅の無宿者の風体です。

「やあ」

「ずいぶんお待ち申しました」

「相変らず早い奴だなあ」

こう言ってうちとけた話ぶりで、穏かならぬ雲行きは、すっかり取去られたものです。