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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

酒折の宮の庭へ入って見ると、松林の間に人が集まって噪いでいます。

日本武尊が東征の時、ここに行宮を置いて、

新治、筑波を過ぎて幾夜か寝つる

と歌を以て尋ねた時、傍の燭を持てるものが、

かがなへて夜には九夜、日には十日を

と答えたという事蹟がある。

ここに立てる石碑のうちには、本居宣長の「酒折宮寿詞」を平田篤胤の筆で書いたものと、甲州の勤王家山県大弐の撰した漢文の碑もある。七兵衛は、左様な委しいことは知らないけれども、この社が由緒ある社であるということは心得ているはずです。右等の碑文が、さほど好事家の間に珍重がられているという理由は知らないが、いずれ俳諧師かなんぞの風流人が、石摺を取っているのだろうと見当をつけました。

これらの連中からわざと遠廻りをして社の裏へ出て、暫く様子をうかがっていると、

「エエ、宝暦十二年、壬午夏四月、山県昌謹撰とあるが、宝暦十二年は、いったい今から何年の昔になるのじゃ」

「左様な、宝暦は俊明院殿の時代で、ええと、今からおよそ、一百三年、或いは四年前に当る――」

こんなことを言って風流人は、紙に巻いたものを携え、ゾロゾロ松林の中を出て行ってしまいました。