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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁
ました。
「おい、兄さん、ちょっと待ってくれ」
米友を呼び留めたけれども、米友は矢も楯も堪らなくなっていました。開いたなりの傘をそこへ抛り出して、勝手にしやがれという態度で、跛足の足を引きずって、雨の中をさっさと駈け出してしまいます。
がんりきは、いよいよテレたもので、苦笑いが止まらず、ぜひに及ばない面をして、橋の上でグルグル廻っている番傘を片手で取押えて肩にかけ、米友の走り去った方面を見送っていましたが、やがて、あきらめて、橋を渡って代地あたりの闇に消えてしまいました。この時分のこと、例の船宿の二階で、書きものをしながら、お角の来るのを待っていた駒井甚三郎は、約束の時間に至ってもお角の姿が見えないから、なお暫く待っていたけれども、音沙汰がありません。そこで、書きものを始末をして立ち上ると、緞子の馬乗袴を穿き、筒袖の羅紗の羽織を引っかけ、大小を引寄せて、壁にかけてあった大塗笠を取卸しました。これからいずれへか出かけて行くものと見えます。出かける前に、お角に会っておきたい用件があるのでしょう、もしやと再び机の前に坐り、火鉢の上に手をかざして、更に消息を待っているもののようでしたが、お角の姿は見えないし、ことわりの使もやって来ないから、もうあきらめたものと見えて、大小を取って手挟みました。