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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

「ははあ、そのことか」

「その乗物は黒塗りでございました」

「それそれ」

兵馬はまだ、過ぎ去ったそのもののあとをながめているのです。

「いかがでしょう、通りましたでしょうか、通りませんでしたろうか、通りましたとすれば、どのくらい前のことでございましたろう、ぜひひとつ」

「なに、何をいわれた?」

「じょうだんではございません、ただいまこれへ、一挺の乗物が通りは致しませんでしたろうか、たしか源氏車の紋のついた提灯をつけて、お附添のさむらい衆が四五人、もっともその中の一人のお方が、さむらい姿でない棒を持ったお方と、こうお尋ね申しているんでございます」

「うむ、それか、それならば、たった今、ここを通った」

「有難うございます」

喜んで駈け出した旅人風の後ろ影を見送ると、その男の足の迅いこと、右の肩から腕へかけて、急にすべり過ぎている姿勢恰好。

「はて……」

乗物が怪しい! その瞬間に兵馬の頭脳にひらめいたのがそれです。その途端に、鳥居の後ろからそろそろと人の姿が現われて、

「兵馬様、兵馬様」

と呼ぶ声。それは七兵衛の声です。

例によって、笠をかぶって合羽を着た旅装の七兵衛は、鳥居の裏から出て来て、