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たいしゅうぶんげいさほう

大衆文芸作法

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《大衆文芸作法(たいしゅうぶんげいさほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,833 字 · 126 頁

青空文庫

そこで、嘗て震災前に加藤一夫等によって始めて提唱された民衆芸術とは、如何に違っているのか、ということを明らかにしておく必要があると思う。その当時提唱された民衆芸術というのは、かの、ロマン・ローランが唱えた「民衆の芸術」を我が国へ輪入したのであった。彼等の主張は、民衆のための芸術を作らなくてはならない、ということにあった。それらの芸術は、民衆そのものの中から生産されるか、それとも民衆の中から生れなくとも、それが民衆のために書かれた芸術でなくてはならない、というのであった。即ち、彼等によって嘗て叫ばれ、そしてその後発達して今日のプロレタリア芸術論となった、民衆芸術というのは、目的意識的のものであった。処が現在我々が問題としている大衆文芸というのは、何ら目的意識的なものではなく、通俗的といった程の意味のものなのである。その究局に於ては同じであるかも知れない。しかし、その出発点を異にしている。そういうような定義の解釈の相違に過ぎないのである。即ち、現在のままに於て定義を下すなら、大衆文芸とは、震災後に於て現れたる興味中心の髷物、時代物小説である、という事ができる。