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たいしゅうぶんげいさほう

大衆文芸作法

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《大衆文芸作法(たいしゅうぶんげいさほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,833 字 · 126 頁

青空文庫

歴史小説としての「神々の死」を不朽ならしめたものは、実に彼の歴史科学の、正確なる知識である。(上述、「神々の死」からの引用文は、何れも米川正夫訳、新潮社出版――大正十年――の邦訳によったのである)

素より、歴史小説は、芸術的な小説であって、断じて、教科書風な、無味乾燥の記述ではない。けれども史実を無視した歴史小説はどんなにか読者に馬鹿馬鹿しさを与えることだろう。極端な例を採れば、若しも近藤勇が忠実なる勤王の武士であって、蛤御門の戦に討死すると云った風の小説が書かれたとしたら、どうだろう。読者は必ずや失望するだろう。芝居の場合なら観客は沸くに相違ない。こんな簡単な、周知の事実の場合には直ぐに気がつくが、多くの似而非歴史小説は、大なり小なり、此のたぐいであることは、容易にわかるものではない。稍もすれば、大衆文芸が軽蔑されるのは、こんな荒唐無稽が禍いするのではないか。

文学を志す者は、須く従来の、伝統的な悪風を捨てて、「天才」の表面的模倣に暇を潰すよりも、科学を研究すべきである。歴史小説を書く者は、小説家であると同時に史家でなければならぬ。

やがて、我国に於ても、真の歴史小説が生れるであろう。