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たいしゅうぶんげいさほう
大衆文芸作法
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《大衆文芸作法(たいしゅうぶんげいさほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,833 字 · 126 頁
日本では嘗て「科学小説」は「探偵小説」と並行して進んで来たのであった。先に、総論で挙げて置いたように、森田思軒をはじめ色々の人が「探偵小説」を翻訳した頃、既にスチブンソンの「宝島」、ベルヌの「海底二万哩」その他、「月世界旅行」なぞが盛んに読まれたものであった。鎖国のために科学に後れた我国の人たちは、新しい科学的智識に眼をみはり、それらを貪り読んだのであった。その後、黒岩涙香はウェルズを翻案し、菊池幽芳はハガードの冒険譚を翻案したりした。
このように、「科学小説」は「探偵小説」とともに順調に発達して来たのであったが、充分に成果を見るに到らぬ以前に一頓挫をきたし、一時衰頽せざるを得なかった。例の我国に於ける畸形的な自然主義文学思潮の発達のために他ならない。かくて、「科学小説」「探偵小説」は文芸の領域から放逐されて了った。
併し、その間西洋諸国に於ては、「探偵小説」と並行して、科学的な怪奇小説、もしくは幻奇小説――ラインハルト、ハガードの作品のごときもの――が盛んに行われたのであるが、一方純粋な「科学小説」として、H・G・ウェルズ、ジャック・ロンドン、コナン・ドイルなぞの人たちの作品が、同時に読書階級のはげしい要求を満して来たのであった。