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てんのう
天皇
蜷川 新
線上閱讀蜷川 新《天皇(てんのう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 頁
聖徳太子がほろぼしたのではない。
聖徳太子と蘇我氏とは、親しみあい、両者はかたく結んでいた。仏教を日本にみちびき、日本にひろめたことについて、それを国民のための文化輸入として、賞賛しようというならば、蘇我氏と聖徳太子とを、あわせて功労者として礼賛することが公正である。これまでは、その公正の道をとらず、聖徳太子のみを尊敬していたが、これは、皇室本位にもとづく、大きな過失であった。
史家は卑怯であった。仏教徒も、慈悲の道徳を忘れて、長いあいだ、権力迎合の俗物と化していたのである。もしも聖徳太子が、賢明無比の一大人物であったとしたならば、その大人物が、唯々として服従していた蘇我氏もまた、非凡の人物であったにちがいない。もしも聖徳太子が、蘇我氏の権威をおそれて、そのために蘇我氏に屈従していたというのであるならば、聖徳太子は賤劣な一小人物であった、と判断せざるをえない。
聖徳太子には、十七条の憲法の一大遺物がある。その憲法は、孔孟の教えのみではなく、老荘の教義も加味してあるものと、昔から学者は批判している。それは、聖徳太子ひとりの能力のみで、つくられたものではないと見たところで、その監修者としての聖徳太子は、非凡の人物であったように判断される。