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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,177 字 · 22 頁
五
その時左近倉平は四十六歳、頭のてっぺんはひどく薄くなって、両鬢に霜を降らせているのに、花嫁の銀子は美しい声を失って楽壇を退いたとはいうものの、可愛らしさに磨きがかかって、婿君の左近倉平の半分と言いたい、二十五になったばかりの、ピカピカする花嫁だったのです。
この噂を、深沢深は冷静に受取りました。そして諦め切った姿で、二人の婚礼の雑用をさばき、その頃流行った音楽結婚の式を挙げるために、山ノ手ビルディングのホールまでも借り受け、飾付万端の指図までしておりました。
五
左近倉平と三室銀子の結婚式は、その日午後二時から、山ノ手ビルのホールでとり行われました。
会場に臨んだのは、楽壇関係者、友人、近親など、二百人も越えたでしょう。四度目の結婚では、さすがに神仏にも見放されたものか、むずかしい儀式は一切抜きにして、仲人の挨拶、当人達の宣誓があって、来賓の短い祝辞が二つ三つ、それが済むと――いや済むのを待っていたように、音楽結婚を特色づける数々の余興が始まったのです。
最初は左近倉平の指揮する管絃楽団を、友人某が代って指揮して、「白鳥の騎士」の「結婚行進曲」の演奏があり、続いてソプラノ独唱と合唱の「結婚カンタータ」