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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,286 字 · 20 頁

青空文庫

二

んだ」

半纏の男が着せてくれた、腐った古半纏、それを引掛けたまま、出雲守頼門はぼんやり立って居りました。

二

その晩、烏帽子岳の深林地帯から少し登って、とある山角に隠れた庵室の戸を、ホトホトと叩く者がありました。

「頼む、お頼み申す」

「――――」

庵室の中はげきとして、それに応ずる者も無く、破れ障子を漏るる灯だけが、息づくように瞬いて居ります。

「山路に踏み迷って、ことの外難渋いたす、近頃卒爾ながら、せめて熱い湯など所望いたし度い」

「それは気の毒、暫らく御待ち下され」

中からは手燭を取って、五十左右の総髪の武家、形ばかりの木戸を開けて慇懃に迎えました。

「御免」

客は主従らしいのが五人、いずれも手軽な山狩の装束ですが、中に囲んだ主人らしいのに対する態度など、何んとなく容易ならぬものがあります。

「さアさア御遠慮なく、道に迷っては、さぞ御難儀をなすった事だろう。この烏帽子岳もこの辺はさして深い山ではないが、麓の林が大変だから、一旦道を失っては容易に出られるところでは無い」

「――――」

主人は気軽に、一人で饒舌って一行を庵室の中に案内しました。

「何が無くとも、熱い雑炊でも進ぜよう。