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きめんじょうのひみつ
奇面城の秘密/夜光人間
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《奇面城の秘密/夜光人間(きめんじょうのひみつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 150,254 字 · 300 頁
もう、夜の十一時をすぎていました。まだところどころに、広いあき地のある、さびしいやしき町を、火の番のおじいさんが、
「火の用心。」ちょん、ちょん……。
と、拍子木をたたきながら歩いていました。
腰に、ぶらぢょうちんをさげていますが、小さなロウソクとみえて、いまにも消えそうな心ぼそいあかりです。
そこは、両がわに長い塀のつづいている、まっ暗な町でした。常夜灯も、電球がわれて消えてしまい、鼻をつままれても、わからぬほどの暗さです。
いっぽうは、コンクリートの万年塀ですが、もういっぽうは、まっ黒にぬった板塀で、いっそう、まっ暗にみえるのです。
その黒板塀の前をとおっていますと、塀の一ヵ所が、ゆらゆらと、動くような気がしました。
火の番のじいさんは、オヤッと思って立ちどまりました。
「なんだろう? 塀に小さなひらき戸がついていて、それが、風で動いたのかしら? もし、そうだったら、用心のわるいことだ。ちゃんと戸じまりをしておかなけりゃあ。」
じいさんは、そう考えて、手さぐりで黒塀に近づいていきました。ちょうちんのあかりが暗いので、はっきり見えないのです。
すると、なんだかきみのわるい、やわらかいものが、手にさわりました。