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ようば

妖婆

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《妖婆(ようば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 37,473 字 · 73 頁

青空文庫

が、たった二日の間に、どうしてあの怪しい婆を、取って抑える事が出来ましょう。たとい警察へ訴えたにしろ、幽冥の世界で行われる犯罪には、法律の力も及びません。そうかと云って社会の輿論も、お島婆さんの悪事などは、勿論哂うべき迷信として、不問に附してしまうでしょう。そう思うと新蔵は、今更のように腕を組んで、茫然とするよりほかはありませんでした。そう云う苦しい沈黙が、しばらくの間続いた後で、お敏は涙ぐんだ眼を挙げると、仄かに星の光っている暮方の空を眺めながら、「いっそ私は死んでしまいたい。」と、かすかな声で呟きましたが、やがて物に怯えたように、怖々あたりを見廻して、「余り遅くなりますと、また家の御婆さんに叱られますから、私はもう帰りましょう。」と、根も精もつき果てた人のように云うのです。成程そう云えばここへ来てから、三十分は確かに経ちましたろう。夕闇は潮のと一しょに二人のまわりを立て罩めて、向う河岸の薪の山も、その下に繋いである苫船も、蒼茫たる一色に隠れながら、ただ竪川の水ばかりが、ちょうど大魚の腹のように、うす白くうねうねと光っています。新蔵はお敏の肩を抱いて、優しく唇を合せてから、「ともかくも明日の夕方には、またここまで来ておくれ。