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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《婦人と文学(ふじんとぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 頁
という夫の言葉の範囲でしか表現されていない。この作品の主人公である妻たる「私」は、一種独特なその性格を横溢させつつ良人を深く愛しているのである。けれども、この小説が、権力との抗争を背景とするものとしてかかれている以上、この勇敢な、「丈夫で使い崩れのしない」妻「私はこの検挙以来、断じて支配者とは妥協の道のないことを、肝に銘じて確信した」(一人行く)その妻が、身代りに自分がつかまったと知ったら必ず自首する良人として、良人を確信し、それを自分たちの愛の証左のように感じているものとして描き出されている点は、読者を居心地わるく、ばつのわるい思いにする。そういう夫妻であるからには、良人の身代りに妻がいためつけられることはわかっていたろう。それこそ、治安維持法そのものの残虐な本質であった。階級人である夫婦にそれがわかっていない筈はない。階級的な立場で運動をし、あの時代に逃亡を思うほどの人ならば、妻一人がその身のかばいてであるという大衆との組織のない関係も不審に思えよう。
「こういう女」の作者が、これらの点に客観の目をむけ得なかったことは、一つにはこの作者の生活がまだ勤労階級の前衛としての立場まで歩み出して来ていない現実の限界を示している。