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ふじんのどくしょ

婦人の読書

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《婦人の読書(ふじんのどくしょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,784 字 · 8 頁

青空文庫

あらゆる面で婦人の読者がふえてきているのが、この頃の日本のありさまだと思う。二三年来、その率は急に高まっているだろう。出版のインフレーション景気ということがいわれ、書物の氾濫につれて、とくに文芸の範囲で婦人の読者の数はましていると思われる。そういう一般の傾向は今日誰の目にも明かに映っているのだが、それと同時に、その現象が文化の向上のためにも婦人の精神の真のゆたかさのためにも大いによろこばしいこととして、そのまま肯定されきれない何かのニュアンスをふくんでいるというところも、現代の性格であると思う。

何かの統計でもあったらきっとさぞ面白いだろうと思うが、これまでの日本で、明治以来今日まで婦人の読者の数はどんな時期どんな時代に増大し、読者としてその質を変えて来ているのだろうか。

だいたい明治三十二年、女学校令というものができてから後、女学校をでた程度の若い婦人たちを目標として『女学世界』などがでてから、ジャーナリズムの上で、婦人雑誌を対象とする婦人読者の層というものが現れたらしく思える。明治の初年、巖本善治氏の『女学雑誌』がでていた時分は、特別に婦人の読者というかたまった存在はなかった。