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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《季節のない街(きせつのないまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 頁
それは事実だが、彼女の顔はいつものとおり砥石のように平静で、感情を動かされたようなけはいはまったくなかった。
「だがでたらめはでたらめだ、ふん、でたらめでなにが証明できるか、え、なにが証明できるんだ」
京太はどなり続けた。
おたねが初めて反問した。
「かつ子が、なにかでたらめを云ったんですか」
「きまってるじゃないか、そうでなくって警察に呼び出されるわけがないだろう、あの不良娘め」と京太はどなり返した、「生みの親に捨てられたも同様なやつを、乳呑み児から苦労して育ててやったのに、その恩をいまになって仇しやがる、ちくしょうにも劣ったやつだ」
だが証明はできない、あいつになにが証明できる、と独りでどなり続けるのであった。
明くる朝、残りの酒をあるだけ飲んで、京太は家から出ていったが、警察へはあらわれなかった。彼は妻が内職仕事をもらう、三軒の問屋をたずね、三軒から前借した金を持って、行方を昏ましたのであった。
かつ子が家へ帰ったのは三カ月のちのことであった。保護施設のようなところへ入れられ、そこで中絶も済ませた。かつ子が未成年であったのと、自供の内容によって、法律的に中絶の処置がとられたのであろう。