輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《季節のない街(きせつのないまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 頁

青空文庫

彼は起きあがって時計を見た。その古い六角時計の針は、一時十五分をさしていた。寝床を見るとお琴はいない、すると夢でもなかったのだと、彼は思った。

「それから眼が冴えちまって眠れやしません」と曾根隆助は云った、「気持だってひどいもんで、ひっきりなしになにかが喉へこみあげてくるし、あばら骨の裏側が火で焼かれるようなぐあいでしたよ」

時計が三時を打ってから、お琴は下へおりて来た。おりて来るときは用心ぶかく足音を忍ばせ、それから足音を高くして手洗いにゆき、戻って来て寝床にはいると、大きな欠伸をして眠りこんだ。

「私は朝までまんじりともしませんでした、へんな話のようですが、お琴のやつが哀れで哀れで、おかしなことを云うようですが、できることなら抱いてやっていっしょに泣きたいような、へんてこな気持でいました、これは本当のことなんですよ」

外が白んできてからとろとろと眠った。眠りかかったということだったろうが、そのうまいの鼻柱を叩くように、お琴がとげとげしい声で呼び起こした。誇張なしに手の平で鼻柱を叩かれたようだったという。いつまで寝てるんだねこのひとは、おくれるじゃないかねずつなしだよ、って喚きたてたということだ。