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いえ
家
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《家(いえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,748 字 · 254 頁
主人の達雄は高い心の調子でいる時であった。中の間にある古い柱の下が日々の業務を執るところで、番頭や手代と机を並べて、朝は八時頃から日の暮れるまで倦むことを知らずに働いた。沈香、麝香、人参、熊の胆、金箔などの仕入、遠国から来る薬の注文、小包の発送、その他達雄が監督すべきことは数々あった。包紙の印刷は何程用意してあるか、秋の行商の準備は何程出来たか、と達雄は気を配って、時には帳簿の整理のかたわら、自分でも包紙を折ったり、印紙を貼ったりして、店の奉公人を助け励ました。
そればかりでは無い。達雄は地方の紳士として、外部から持込んで来る相談にも預り、種々土地の為に尽さなければ成らない事も多かった。尤も、政党の争闘などはなるべく避けている方で、祖先から伝わった業務の方に主に身を入れた。達雄の奮発と勉強とは東京から来た三吉を驚かした位である。
三吉が着いて三日目にあたる頃、連の直樹は親戚の家へ遊びに行った。その日は午後から達雄も仕事を休んで、奥座敷の方に居た。そこは家のものの居間にしてあるところで、襖一つ隔てて娘達の寐る部屋に続いている。「お仙や」とお種は茶戸棚の前に坐りながら呼んだ。