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「てらだとらひこのついそう」あとがき
寺田寅彦 わが師の追想
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《寺田寅彦 わが師の追想(「てらだとらひこのついそう」あとがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,239 字 · 65 頁
室井君の「地球磁気の根源に関する」大研究も、検流計が一つとあとはアスベストスの棒と手細工のがらがら廻る歯車とが出来上がれば、とにかく実験が始められた。こういう風にして始められた研究が、その姿のままで続けられて立派な結果を得たのではないが、この程度ででもよいから、とにかく始めなければ、決して後年のような実は結ばなかったであろう。
水素の方の仕事は、この中では比較的大がかりであったが、それでも水素のボンベと目盛りした硝子のU字管と、小さい変圧器くらいの設備で、どんどん曲線は採れて行った。そうしてこの仕事をしていなかったら、飛行船爆破の原因探究という実験も出来なかったであろうという気がする。
機械や設備が立派に揃えばそれに越したことはないが、そんなものが無くてもある程度の研究は出来るということは、よく言われる通りである。しかし実際にはあの当時の設備と人員とで、とにかく研究を始めて、それをある程度まで進行させるということは、そう易しいことではない。この頃になって私もやっとそういうことが分かって来た。立派な機械を使ってつまらぬ仕事をすることは易しいが、その反対の場合はむつかしい。