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「てらだとらひこのついそう」あとがき
寺田寅彦 わが師の追想
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《寺田寅彦 わが師の追想(「てらだとらひこのついそう」あとがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,239 字 · 65 頁
「書架と花」に大正八年一月五日とあるが、ちょうど先生の吐血の年の正月のことで、年譜にもその前年の暮れから「胃の工合が良くなかった」とある。胃潰瘍がだんだん進行して、先生は少し静養を必要とされ、時々津田さんのところなどへ遊びに行かれて、毛筆淡彩の素描などを試みておられた。この正月の前年の秋には、中央公論に『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』を書かれた。その頃津田さんのところで描かれた絵の一枚が、この「書架と花」であって、それが反故にまぎれ込んで、戸棚の中に放り込まれていた。それが津田さんが二十年ぶりで戸棚の隅を整理された時に、ひょっくり出て来たのである。
「書架と花 寺田寅彦画」のキャプション付きの絵
書架と花 寺田寅彦画
寅彦像もその頃描かれたもので、先生四十二歳頃のものである。年のわりにひどく老けて見え、また随分痩せておられるが、恐ろしい大患が、先生の身体の奥で進行中であったからであろう。津田さんの御蔭でこの二枚の絵を本書におさめることが出来たことを感謝している。
感謝といえば、この本の大部分は、岩波書店の特別の好意によって『冬の華』から再録することを許されたのであって、私にとっては誠に有り難いことである。