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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
こういう事は古人の立派な連句にもありはしないかと思って、手近な、そうしてなるべく手数のかからないような範囲内で少しばかり当たってみた。しかしちょうど今言ったような場合の好適例はまだ見いださないのであるが、そのかわりに個々の作者についていろいろな観念群とでも名づくべきものの明白に見えるものを発見することはできた。
たとえば岩波文庫の芭蕉連句集の(五一)と(五二)の中から濁子という人の句ばかり抜き書きしてみると、「鵜船の垢をかゆる渋鮎」というのがあってそこに「鳥」と「魚」の結合がある。ところが同じ巻の終わりに近く、同人が「このしろを釣る」という句を出してその次の自分の番に「水鶏の起こす寝ざめ」を持ち出している。これだけならば不思議はないのであるが、次の巻のいちばん初めのその人の句が「卵産む鶏」であって、その次が「干鰯俵のなまぐさき」である。この二つの歌仙は同年にできてはいるようであるが、この二つのものの中間にいかなる連中と何回いかなる連句を作っているかそれは私には全くわからない。しかし私の書き抜いた長短わずかに二十三句の中にこういう「魚鳥」複合といったようなものが三度までも現われているのは決して偶然とは思われない。