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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁

青空文庫

たとえば利牛の句十八の中に鳥類は二度現われるが魚類は一つも現われないのである。

史邦の句三十八ばかりを書き抜いてすぐ気のついたことは「雨月」複合の多いことである。「月細く小雨にぬるる石地蔵」「酒しぼるしずくながらに月暮れて」「塩浜にふりつづきたる宵の月」「月暮れて雨の降りやむ星明かり」以上いずれも雨の月であるが、もう一つおまけに「傘をひろげもあえずにわか雨」というのがある。ここでは月の代わりに傘が出ている。それからこれは一見しただけではあまり明白ではないが、「寒そうに薬の下をふき立てて」「土たく家のくさききるもの」「よりもそわれぬ中は生かべ」「すり鉢にうえて色つく唐がらし」少し逆もどりして別の巻「溝汲むかざの隣いぶせき」の五句のごときも、事によると一種の土臭いにおいを中心として凝集した観念群を想像させる。

岱水について調べてみる。五十句拾った中で食物飲料関係のものが十一句、すなわち全体の二十二プロセントを占めている。こういうのを前記の観念群と同一視してよいか悪いかは少し疑わしいがともかくもおもしろい例である。史邦の場合には「薬」も入れて飲食物と見るべきものが三十八分の三、即ち八プロセント弱である。