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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
その夜学というのが当時盛んであった政社の一つであったので、時々そういう社の示威運動のようなものが行なわれ、おおぜいで提灯をつけて夜の町を駆けまわり、また時々は南磧で繩奪い旗奪いの競技が行なわれた。ある時はある社の若者が申し合わせて一同頭をクリクリ坊主にそり落として市中を練り歩いたこともあった。
宅の長屋に重兵衛さんの家族がいてその長男の楠さんというのが裁判所の書記をつとめていた。その人から英語を教わった。ウィルソンかだれかの読本を教わっていたが、楠さんはたぶん奨励の目的で将来の教案を立てて見せてくれた。パーレー万国史、クヮッケンボス文典などという書名を連ねた紙片に過ぎなかったが、それが恐ろしく幼い野心を燃え立たせた。いよいよパーレーを買いに行ったとき本屋の番頭に「たいそうお進みでございますねえ」といわれてひどくうれしがったものである。その時の幼稚な虚栄心の満足が自分の将来の道を決定するいろいろな因子の中の一つになったかもしれないという気がする。この楠さんはまたゲーテの「狐の裁判」の翻訳書を貸してくれた人である。「漢楚軍談」「三国志」「真田三代記」