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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁

青空文庫

における時鐘の音などがそれである。このあとの映画で、不幸なるラート教授が陋巷の闇を縫うてとぼとぼ歩く場面でどことなく聞こえて来る汽笛だかなんだかわからぬ妙な音もやはりそういう意味で使われたものであろう。運命ののろいの声とでもいうような感じを与えるものである。

俳諧連句においては実に巧妙にこれら音響のモンタージュ手法が採用されている。前掲「灰汁桶」の句ではしずくの点滴の音がきりぎりすの声にオーバーラップし、「芭蕉野分して」の句では戸外に荒るる騒音の中から盥に落つる雨漏りの音をクローズアップに写し出したものである。またたとえば芭蕉は時鳥の声により、漱石は杭打つ音によって広々とした江上の空間を描写した。「咳声の隣はちかき縁づたい」に「添えばそうほどこくめんな顔」は非同時性モンタージュであり、カメラの回転追跡(Nachpanoramieren)である。こういう例をあげれば際限はない。他日適当の場所で細説したいと思う。

録音と発音の機械的改良が進展して来る一方でまたトーキーファンの聴覚が訓練されて来れば、発声映画の可能性はさらに拡張されるであろう。点滴の音によってその室の広さを感じ、雷鳴の響きによって山の近さを感じることも可能になるであろう。