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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
ともかくも光像と音響は単に並行的に使用さるべきものではなく、対位法的、調音的に編集さるべきものである。並行的使用は両方の要素を相殺し、対位法的編成は二つのものを生かし強調するのである。
有色映画
音声を得た映画がさらに色彩を獲得することによっていかなる可能性を展開するかという問題がある。
無声映画の時代にフィルムを単色に染めることによってあるいは月夜、あるいは火事場の気分を出したことがあった。その後有色写真のいろいろな方法が案出されて、「テクニカラー」式有色映画の示す程度までは進歩したが、その色彩はまだきわめて単調でなまなましくて、かろうじて安物の三色版の水準にしか達していない。それがためにかえって画面の明暗の調子を攪乱し減殺し、そうして過度の刺激によって目を疲らせるばかりであるから、現在のところでは芸術的には全く低級な単なるノヴェルティに過ぎないと言わなければならない。
視覚的映画に聴覚的な音響を付加することは本質的に異なる別の次元を新たに増加することであるが、色彩の付加は単に視覚的なものの属性の補充に過ぎない。それだから、たとえば色彩再現の科学的技術がいかに発達したとしても、それがために発声映画がもたらしたほどの根本的な革命が起ころうとは思われない。