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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第二巻(えいがじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 頁
周囲が静かであるためか、それとも器械がいいのか、こちらの頭がどうかしていたのか、そのトリオだけはちょっとおもしろく聞かれたので、階段の上に腰かけておしまいまで聞いた。このぶんならラディオもそれほど恐ろしいものではないと思った。
その後ある休日の午後、第Xシンフォニーの放送があったとき、銀座のある喫茶店へはいってみた。やはりだめであった。すべての楽器はただ一色の雑音の塊になって、表を走る電車の響きと対抗しているばかりである。でも曲の体裁を知るためと思って我慢して聞いていると、店員が何かぐあいでも直すためか、プラグを勝手に抜いたりまたさしたりするのでせっかくのシンフォニーは無残にもぶつ切れになってしまった。
こんな行きがかりで自然ラディオというものに対する一種の恐れをいだくようになってみると、あの家々の屋上に引き散らしたアンテナに対しても同情しにくい心持ちになる。しかしそういう偏見なしにでもおそらくあれはあまり美しいものではない。物干しざおのようなものにひょろひょろ曲がった針金を張り渡したのは妙に「物ほしそう」な感じのするものだと思う。あんなことをしないでもすむ方法はあるそうである。