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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第二巻(えいがじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 頁

青空文庫

皮膚の感覚についてのみ言われるこの涼味の解釈を移して精神的の涼味の感じに転用する事はできないか、これもまた心理学者の一問題となりうるであろう。

向日葵

中庭の籐椅子に寝て夕ばえの空にかがやく向日葵の花を見る。勢いよく咲き盛る花のかたわらにはもうしなびかかってまっ黒な大きな芯の周囲に干からびた花弁をわずかにとどめたのがある。大きくなりそこなってまね事のように、それでもこの花の形だけは備えて咲いているのもある。大きな葉にも完全なのは少なく、虫の食ったのや、半分黒くなって枯れしぼんだのもある。そういう不ぞろいなものを引っくるめたすべてが生きたリアルな向日葵の姿である。しおれた花、虫ばみ枯れかかった葉を故意にあさはかな了簡で除いて写した向日葵の絵は到底リアルな向日葵の絵ではあり得ない。

精巧をきわめたガラス細工の花と真実の花との本質的な相違はこういう点にもある。写実を尊んで理想を一概に排斥する極端論者の説にも一理はある。実際ある浅薄な理想主義の芸術はまさにしんこ細工の花のようなものである。しかしそうかと言って虫食いや黴菌のために変色した葉ばかりを強調した表現主義にも困る、ドイツあたりの近ごろの絵画にはそんな傾向が見えるのもありはしないか。