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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第二巻(えいがじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 頁
これもたしかに設計が悪いと言われなければならないのがいわゆる時代の推移であろう。二十年前だったら、設計も立て札も当然自明的であって、制札を無視するのが没公徳的で悪いのであった。
自分の郷里では、今は知らず二十年も以前は、婚礼の三々九度の杯をあげている座敷へ、だれでもかまわず、ドヤドヤと上がり込んで、片手には泥だらけの下駄をぶら下げたままで、立ちはだかって花嫁や花婿の鼻の高低目じりの角度を品評した。それを制すれば門の扉の一枚ぐらい毀たれても苦情は言えなかった。これはむしろ一九三〇年を通り越していたとも考えられる。
今度法令が変わると他人の家へうっかり黙ってはいって来るものにはピストルを向けてぶっ放してもいいことになるという話である。これは芝生の場合とは逆の方向への推移である。もっともアフリカ内地へでも行けば、今でも、うっかり国境へ入り込んで視察でもしていたというだけでもすぐ拘禁され、場合によると命があぶない所もあるかもしれない。
これらの事実の関係ははなはだ錯綜していて、考えても考えても、考えが隠れん坊をして結局わからなくなるのである。時代は進むばかりであとへはもどらないはずであるが、時代の波の位相のようなものはほぼ同じことを繰り返すのかもしれない。