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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第二巻(えいがじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 頁
玉のほうは相変わらずきわめて冷淡な伯父さんで、めんどうくさがってすぐにどこかへ逃げて行ってしまった。
四匹の子猫に対する四人の子供の感情にもやはりいろいろの差別があった。これはどうする事もできない自然の理法であろう。愛憎はよくないと言って愛憎のない世界がもしあったらそれはどんなにさびしいものかもわからない。
子猫はそれぞれもらわれて行った。太郎はあるデパートメントストアーへ出ているという夫婦暮らしの家へ、次郎は少し遠方のあるおやしきへ、赤はひとり住みの御隠居さんの所へ、最後におさるは近い電車通りの氷屋へそれぞれ片付いて行った。私は記念にと思ってその前に四匹の寝ている姿を油絵の具でスケッチしておいたのが、今も書斎の棚の上にかかっている。まずい絵ではあるが、それを見るたびに私は何かしら心が柔らぐように思う。
太郎の行った家には多少の縁故があるので、幼い子供らは時々様子を見に行った。おさるの片付いた氷屋も便宜がいいので通りがかりに見に行くそうである。秋になってその氷屋は芋屋に変わった。店先の框の日向に香箱を作って居眠りしている姿を私も時々見かける。前を通るたびには、つい店の中をのぞき込みたいような気がするのを自分でもおかしいと思う。