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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第二巻(えいがじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 頁
六
自然の森羅万象がただ四個の座標の幾何学にせんじつめられるという事はあまりに堪え難いさびしさであると嘆じる詩人があるかもしれない。しかしこれは明らかに誤解である。相対性理論がどこまで徹底しても、やっぱり花は笑い、鳥は歌う事をやめない。もしこの人と同じように考えるならば、ただ一人の全能の神が宇宙を支配しているという考えもいかにさびしく荒涼なものであろう。
今のところ私は、すべての世人が科学系統の真美を理解して、そこに人生究極の帰趣を認めなければならないのだと信ずるほどに徹底した科学者になり得ない不幸な懐疑者である。それで時には人並みに花を見て喜び月に対しては歌う。しかしそうしている間にどうかすると突然な不安を感じる。それは花や月その他いっさいの具象世界のあまりに取り止めどころのないたよりなさである。どこをつかまえるようもない泡沫の海におぼれんとする時に私の手に触れるものが理学の論理的系統である。絶対的安住の世界が得られないまでも、せめて相対的の確かさを科学の世界に求めたい。
こういう意味で私は、同じような不安と要求をもっている多くの人に、理学の系統の中でもことにアインシュタインの理論のごときすぐれたものの研究をすすめたい。