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あひるとさる

寺田寅彦随筆集 第五巻

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第五巻(あひるとさる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 頁

青空文庫

実際短い詩に定型がなかったら「手帳の覚え書き」との区別はつきにくい。しかし「古池に蛙が飛び込んで水音がした」がなぜ散文で、「古池や蛙飛び込む水の音」がなぜ詩であるか。それは無定形と定形との相違である。しからば前者の五、九、七、を一つの異なる定型としてはなぜいけないか。この疑問に答えるには日本における五七調の成立と、その必然性とを考えなければならない。

どうして日本に五、七あるいは七、五の律動が普遍化したかということはむつかしい問題である。今のところ明白な説明はできそうもない。私見によるとおそらくこれは四拍子の音楽的拍節に語句を配しつつ語句と語句との間に適当な休止を塩梅する際に自然にできあがった口調から発生したものではないかと想像されるのであるが、これについては別の機会に詳説することとして、ここではともかくそうしてできた五七また七五調が古来の日本語に何かしら特に適応するような楽律的性質を内蔵しているということをたとえ演繹することは困難でも、眼前の事実から帰納することができればそれで少なくもこの場限りの目的には充分であろうと思われる。

古事記などの古い部分に現われたいろいろの歌ではまだ七五の形は決定していないで、いろいろの字数の句が錯雑している。