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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第五巻(あひるとさる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 頁
前編でも同じ人が弟の横顔をぴしゃりとたたくところも同様に、ちゃんと生きた魂がはいっている。
隣の大将が食卓でオール・ドゥーヴルを取ってから上目で給仕の女中の顔をじろりと見る、あの挙動もやはり「生きてはたらきかける」ものをもっている。
生きているというのはつまり自然の真の一相の示揚された表情があるということであろう。こういう箇所に出くわすと自分はほっとして救われた気がするのであるが、多くの日本映画には、こうした気のする場面がはじめからおしまいまで一つもないのは決して珍しくないのである。
十一 荒馬スモーキー
この映画も監督は馬に芝居をさせているつもりでいるが、馬のほうでは、あたりまえのことながら、ちっとも芝居気はなくて始終真剣だから、そう思ってこの馬のヒーローを見ていると実に愉快である。子馬が生まれて三日ぐらいだという場面で、母馬の乳をしゃぶりながらかんしゃくを起して親の足をぽんぽんける、そのやんちゃぶりや、また、けられても平気ですましている母の態度や、実に涙が出るほどかわいくおもしろい真実味があふれている。
悍馬を慣らす顛末は、もちろん編集の細工が多分にはいってはいるであろうが、あばれるときのあばれ方はやはりほんとうのあばれ方で寸毫の芝居はないから実におもしろい。