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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

線上閱讀小出 楢重《小出楢重随筆集(ならしげざっぴつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 334,351 字 · 657 頁

青空文庫

て行くらしいのである。

折角花道から、苦労しながら仁木弾正がせり上って見ても、毎日毎日大根引下れ、と叫ばれて見ては、あまりいい気はしないだろう。

あるいは実在を穴のあくほど見つめて描く事でなくては画家でないというと、折角昨日まで鼻唄まじりで陽気なタブローを作り上げていた才人までが、急に一個の林檎を眺めて、涙を流して見たりする事もある。

あるいは、今や時代は野獣である、何がなじっと落着いていては画家に非ずと勇気づけられたりすると、何が何だかよくはわからないながらも、虎は何処だと叫びながら、尻をまくって取敢えず飛び出して見たりする。

君々、虎は後ろですよと注意されて喫驚して見たりする事もないとはいえない。あるいはじっと坐っていたい温厚な人が尻をたたかれて、妙に浮き出して見たり、大体喧嘩、口論、大騒動は嫌なのだが、お隣りもやり出したので、やむをえず煮え切らない喧嘩を吹きかけつつ、神経衰弱に陥って見たり、飲めないのに飲んで嘔吐して見たり、その他いろいろ様々とやって見る。しかし、要するに皆その人柄相当の事でさえあれば見ていても心持ちはいいけれども、柄にない事をうっかりやらされていたりする事は甚だ気の毒に見えるものである。