輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
線上閱讀尾崎 士郎《尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 頁
れてまいりました。そこへ十人目の秀岡というもと石工をしていたという男が看守につれられて入ってきました。秀岡はわたくしを見るとぴょこんとお辞儀をして、それがいかにも空々しく、何とも言いようのない侮辱をこめた眼でじろりとわたくしの顔を見あげて、
「坊さん! まだ夕飯を頂戴しませんよ」
と言うのです。わたくしは思わずたじたじとなりながら、しかし、やっと心を落ちつけて、
「すまなかったね、今日はお前もうすうす知っているとおり大へんいそがしかったので」
と言いかけるのをあの男はみなまで聞かないでせせら笑いながら、
「うすうすどころかよく知っていますよ、どうもお手数ばかりかけてすみませんな」
そう言ってもう一度わたくしの顔を見あげ、その視線をすぐにテーブルの上の蜜柑の山にうつしたと思うと、わざとらしく顔をしかめ、
「みんな御丁寧に皮までむいていやがる、おれも一つ頂戴するかな――」と太々しい声で言いながら、蜜柑を皮のまま四つ五つ頬ばったと思うと、「しかし、蜜柑じゃあ腹もふくれねえや、まったく腹がへっちゃあ元気よくおわかれもできませんからね、それでは阿弥陀さまにそなえてあるお菓子でもいただきましょうか」