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やねうらのさんぽしゃ

屋根裏の散歩者

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《屋根裏の散歩者(やねうらのさんぽしゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,862 字 · 57 頁

青空文庫

二

の魅力は見方によってはその危険にこそあるのですから――興味も乏しく、そういつまでも彼を有頂天にさせる力はありませんでした。ものの三ヶ月もたちますと、いつとなく彼はこの楽みから遠ざかる様になりました。そして、あんなにもひきつけられていた明智との交際も、段々とうとうとしくなって行きました。

二

以上のお話によって、郷田三郎と、明智小五郎との交渉、又は三郎の犯罪嗜好癖などについて、読者に呑み込んで頂いた上、さて、本題に戻って、東栄館という新築の下宿屋で、郷田三郎がどんな楽しみを発見したかという点に、お話を進めることに致しましょう。

三郎が東栄館の建築が出来上るのを待ち兼ねて、いの一番にそこへ引移ったのは、彼が明智と交際を結んだ時分から、一年以上もたっていました。随ってあの「犯罪」の真似事にも、もう一向興味がなくなり、といって、外にそれに代る様な事柄もなく、彼は毎日毎日の退屈な長々しい時間を、過し兼ねていました。東栄館に移った当座は、それでも、新しい友達が出来たりして、いくらか気がまぎれていましたけれど、人間というものは何と退屈極る生物なのでしょう。どこへ行って見ても、同じ様な思想を同じ様な表情で、同じ様な言葉で、繰り返し繰り返し、発表し合っているに過ぎないのです。